中国人兵士がロシア軍部隊の一員として、ウクライナで戦闘に参加している実態が明らかになった。ウクライナ東部の戦闘地域で2人の中国兵がウクライナ軍によって拘束された。4月14日、首都キーウで共に迷彩服姿で記者会見した2人は多額の報酬契約とロシア軍によるSNS勧誘で軍部隊に加わったと説明した。

米国のトランプ大統領が仲介するプーチン政権との停戦交渉のさなかに判明した、ロシア最大の支援国中国の関与。ウクライナ情報当局によれば、多くの中国兵は2024年秋ごろからロシアの軍事施設で訓練をし始めた証拠があるという。
報酬はロシア国内だけで使用
ゼレンスキー大統領はウクライナ東部の戦闘地域で中国兵2人が拘束された事実をつかむと、自らその概要をつまびらかにする広報役を買って出た。
ウクライナ側は戦争中の捕虜の扱いを規定するジュネーブ条約に基づき、適切な捕虜扱いをしていると主張する。ウクライナ側の積極的な広報姿勢は14日の記者会見でも貫かれ、会見場に姿を現した中国兵2人は約2時間にわたって、記者の質問にはっきりとした口調で応じた。2人は他の中国人に対して、「絶対にこの戦争に加わってはならない」と警告したが、自らの意思で発言しているのかどうかはわからない。
ロシア軍はトランプ政権による停戦交渉の最中でも、民間人を犠牲にする都市への攻撃を止めていない。ゼレンスキー氏は中国兵拘束の事実を明らかにする説明の中でも、プーチン政権の戦闘継続意欲を示す文脈で「中国」の関与を指摘した。ロシアが中国人を戦争に参加させていることは「モスクワが敵対行為を長引かせたいだけの理由であることを示す新たな証拠である」と語った。
ウクライナ保安庁は2人のパスポートなどの公的証明書や拘束直後の尋問時の様子も公開した。ウクライナ軍の尋問により、どのようにして2人がロシア軍に加わったかが明らかになった。
1991年生まれの中国兵バン・グアンジュニは、コロナ禍によって中国で職を失い、休職中にロシア人のリクルーターと出会った。負傷兵のリハビリを担う従事者として契約した。その際、30万ルーブルを支払ったのだという。