Ricty (リクティ) は Linux 環境での研究・開発に適したフリーなプログラミング用 TrueType フォントです。 Emacs や Vim を用いた C、C++、FORTRAN、Python、Perl、Ruby、AWK、sed、シェルスクリプト、LaTeX などのコーディングにおける使用を想定しています。 以下の 2 つの等幅フォントの合成、および、プログラミング用フォントとしてのいくつかのチューニングを行う生成スクリプトの配布を行なっています。
- Inconsolata: 「Top 10 Programming Fonts」や「プログラミング時に最適なフォント『Inconsolata』」などで高い評価を受けているサンセリフ体等幅欧文フォント
- Migu 1M: M+ 1M と IPA ゴシックの合成フォント (旧称 M+1VM+IPAG circle/M+2VM+IPAG circle) であり、「Windows でプログラミングに最適なフォントを探す」などで高い評価を受けているゴシック体等幅和文フォント
Inconsolata 作者の Raph Levien 氏、Migu 1M 作者の itouhiro 氏、M+ 1M 作者の coz 氏、IPA ゴシックのベースとされている TB ゴシック作者の林隆男氏、私のイニシャルから “Ricty” と命名しました。
- ラテン文字には Raph Levien 氏の Inconsolata が適用されます。
- それ以外の文字には Migu 1M が適用されます。美しい M+ とロバストな IPA、そして、itouhiro 氏が改良された視認性の高い日本語文字 (半濁音など) が使用できます。
- 半角文字と全角文字の横幅の比が 1:2 に調整されています。
- 全角スペースが可視化されます。
- いくつかの全角グリフが対応する半角グリフと差別化されています。
- en ダッシュ、em ダッシュが破断線のようになります (LaTeX での入力ミス防止のため)。
- Ricty 生成スクリプトは二条項 BSD ライセンスに従うものとします。
- Ricty 生成スクリプトにより生成されたスクリプトは SIL Open Font License (OFL) Version 1.1 および IPA Font License Agreement v1.0 に従うものとします。 特に、OFL 1.1 section 5 に従い、生成されたフォントの再配布は禁止とします
Ricty 生成スクリプトを配布しています。 また、姉妹フォント Ricty Diminished は TrueType フォントを配布しています。
- ライセンス変更 (public domain → 二条項 BSD)
- ASCII グリフのボールド体の太さの変更 (以前の太さにするときは
-b
)
- 全角括弧を半角括弧と差別化
- M+ FONTS LICENSE 記述の除去 (Migu 1M の更新に追従)
- いくつかの環境で等幅でなくなる問題に対処
- em ダッシュ処理の修正
- 行間の調整
- コマンドラインオプションの追加
- Ricty Discord のコマンドラインオプション
- コマンドラインオプションの追加
- Migu 20111002 に同期 (後方互換を担保せず)
- コマンドラインオプションの追加
- コマンドラインオプションの追加
- Mac OS X で Regular と Bold が異なる高さで表示される問題に対処
- 生成スクリプトへの auto オプションの追加
- 生成スクリプトの配布開始
- TrueType フォントの配布中止
Debian/Ubuntu
# apt-get install fontforge fonts-inconsolata fonts-migmix
Fedora/CentOS
# yum install fontforge
OpenSUSE
# zypper install fontforge
その他の Linux
FontForge 公式サイトより入手してください。
Inconsolata 公式サイトより OpenType file を入手し、インストールしてください。
「M+ と IPA の合成フォント」より入手し、インストールしてください (MigMix ではありません)。
以上 2 種類のフォントをインストールした後で
% ./ricty_generator.sh auto
もしくは、
% ./ricty_generator.sh Inconsolata.otf migu-1m-regular.ttf migu-1m-bold.ttf
生成には 2–5 分程の時間がかかります。
% cp -f Ricty*.ttf ~/.fonts/
% fc-cache -vf
-h
: ヘルプを表示する。-V
: バージョン番号を表示する。-f /path/to/fontforge
:fontforge
コマンドのパスを指定する。-v
:fontforge
の警告メッセージを表示する。-l
: 生成の過程で生じる中間ファイルを削除せずに残す。-n string
: フォントファミリ名を「Ric 8D2D ty」ではなく「Ricty ○○○」として生成する。-w
: 行間を広くする。-W
: 行間をかなり広くする。-b
: ASCII グリフのボールド体をより細くする。-B
: ASCII グリフのレギュラー体をより太くする。-Z unicode
: 他のグリフのコピーすることで全角スペースを可視化する (たとえば-Z 2318
とすると、全角スペースが ⌘ になる)。-z
: 全角スペースを可視化しない。-a
: Inconsolata のグリフを優先し、Ambiguous 文字を全角化しない。-s
: Migu 1M のグリフを縮小しない (-w
オプションとの併用を推奨)。
Ricty では、調和・統一感の維持のため、プログラミング用フォントのコアである Inconsolata 由来の ASCII 文字に手を入れないようにしています。 Discord (不協和音) 版は、統一感を乱す覚悟で ASCII 文字に手を入れた Ricty の派生フォントです。 通常、Ricty Discord は Ricty 生成の際に自動的に生成されますが、パッチスクリプトを直接実行することによっても生成できます。 このとき、オプションを指定することで個々の変更点を無効化することができます。
% fontforge -script ricty_discord_patch.pe [options] Ricty-Regular.ttf Ricty-Bold.ttf
-space
: 「 (半角スペース)」を可視化する。-quotedbl
: 「"」を拡大しない。-quotesingle
または-quote
: 「'」を拡大しない。-asterisk
: 「*」を少し下方に移動しない。-plus
: 「+」を少し下方に移動しない。-comma
: 「,」を拡大しない。-hyphen
: 「-」を少し下方に移動しない。-period
: 「.」を拡大しない。-0
または-zero
: 「0」をドットゼロにせず、スラッシュゼロのままにする。-7
または-seven
: 「7」にクロスバーを付けない。-colon
: 「:」を拡大しない。-semicolon
: 「;」を拡大しない。-less-greater
または-angles
: 「<」および「>」を少し下方に移動しない。-equal
: 「=」を少し下方に移動しない。-D
: 「D」を Eth にしない (「D」にクロスバーを付けない)。-Z
: 「Z」にクロスバーを付けない。-asciicircum
または-circum
: 「^」を拡大しない。-grave
: 「`」を拡大しない。-l
: 「l」の左下のセリフを切り落とさない。-r
: 「r」をセリフ体 (Inconsolata の不使用グリフ) にしない。-z
: 「z」にクロスバーを付けない。-bar
: 「|」を破断線 (Inconsolata のグリフ) にしない。-asciitilde
または-tilde
: 「~」を上方に移動しない。
Emacs
(set-face-attribute 'default nil
:family "Ricty Discord"
:height 120)
(set-fontset-font (frame-parameter nil 'font)
'japanese-jisx0208
(cons "Ricty Discord" "iso10646-1"))
(set-fontset-font (frame-parameter nil 'font)
'japanese-jisx0212
(cons "Ricty Discord" "iso10646-1"))
(set-fontset-font (frame-parameter nil 'font)
'katakana-jisx0201
(cons "Ricty Discord" "iso10646-1"))
GVim (Linux)
set guifont=Ricty\ Discord\ 12
set guifontwide=Ricty\ Discord\ 12
GVim (Mac OS X/Windows)
set guifont=Ricty\ Discord:h12
set guifontwide=Ricty\ Discord:h12
- Gnome-terminal において、フォントに Ricty を設定できないことがあります。
- gconf-editor などで
~/.gconf/apps/gnome-terminal/profiles/Default/%gconf.xml
のfont
を直接編集してください。
- gconf-editor などで
- Mac OS X を含む一部の環境において、生成スクリプトを実行すると FontForge が segmentation fault で異常終了することがあります。
- 「Ricty のビルド中に fontforge が segmentation fault でクラッシュする問題」にてこれを回避したとの報告がありました。
- また、一部のバージョンの FontForge にはファイル名を誤認識するというバグがあるようです。
-v
オプションで誤認識後のファイル名を確認し、ファイル名を変更することで対応してください。
- 一部の環境において、生成されたフォントの全角文字の文字間隔が不自然に大きくなることがあります。
- 生成されたフォントを
misc/os2version_reviser.sh
に食べさせることで修正できます。
- 生成されたフォントを
- Windows ではアンチエイリアスがキレイにかからず、特にフォントサイズが小さいときに文字が部分的に欠けます。
- gdipp、ezgdi、gdi++ Helium などを使用すると Linux と同等の美しさで表示されます (アプリケーションによってまったく機能しないことがあります)。
- 一部のフォントサイズで半角文字と全角文字の横幅比が 1:2 にならないことがあります。
- ピクセル値 (px) が偶数でないとき、どのフォントにおいても起こりうる問題です。
- 一般的な 96 DPI のフォントレンダリングでは、9 pt、10.5 pt、12 pt、13.5 pt、15 pt など、1.5 の倍数を指定すると 1:2 で表示されると思います。
misc/regular2oblique_converter.pe
で斜体を生成できます。 Ricty Discord Oblique は Discord 化、斜体化の順で生成してください。ricty_generator.sh
に Migu 1M 以外の日本語フォントを食べさせても大抵はうまく合成されます。 ボールド体がない日本語フォントでも、ダミーを食べさせてRicty-Bold.ttf
を破棄すれば問題ありません。ricty_discord_patch.pe
は好みで変更点を適宜無効化して使われることを想定して、若干過剰に作ってあります。 私は 7, D, Z, z の 4 文字の変更を無効化しています (-7 -D -Z -z
)。- Cocoa Emacs でフレーム幅が意図した幅の倍になってしまうときは、本末転倒気味ですが、
misc/ricty_ascii_extractor.pe
で ASCII 文字のみを分離したフォントを生成する方法が有効です。 misc/ricty_greek_regenerator.pe
でアクセント付きギリシア文字を全角幅にすることができます。 現時点ではギリシア文字拡張グリフには対応していません。