鎌倉新書の調査が示す「樹木葬」の拡がりを、どう捉えるべきか

2025年3月30日 08:26

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 鎌倉新書(6184、東証プライム市場)から、『お墓の消費者 全国調査(2025年) 選択の自由度が広がる現代のお墓事情』と題するリリースが届いた。私と同じ「老」の域を迎えた読者層に、「終活」の一環として耳目をお借りしたい。

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 改めるまでもないだろうが鎌倉新書は、墓に関するポータルサイト「いいお墓」を運営している。サイトを訪れる人には「霊園」「お坊さん」の紹介も手掛けている。その実績は今年1月末時点で、8万件以上。

 今回の調査結果も「いいお墓」経由で墓を購入した御仁(昨年1月17日~今年1月31日)を対象にした、ネット調査の結果(回答数1475件)だという。冒頭に、トピックスが記されていた。

 (1) 購入した墓の種類は「樹木葬」が48.5%で、昨年調査に引き続きトップ。樹木葬とは墓石の代わりに、樹木・草花(桜・紅葉・ハナミズキ等々)に囲まれて埋葬される。私が知る限りで、石原裕次郎・立花隆・立川談志・石原慎太郎などの「一言一師」各位が樹木葬で眠っている。以下「一般墓17.0%」「納骨堂16.1%」「合祀模・合葬墓14.6%」。

 (2) 墓を購入する際に重視した点は「墓の種類49.4%」「金額41.9%」「継承者不要」。39歳以下は「金額重視」の傾向が、65歳以上では「アクセスの良さ」を優先する向きが多いという。

 (3) 墓の平均購入金額は「一般墓155.7万円」「樹木葬67.8万円」「納骨堂79.3万円」。一般墓は前年より微増、樹木葬・納骨堂は横這い傾向としている。

 (4) 購入した墓の種類と子供の人数:「0人/樹木葬49.1%」「1人/同.47.5%」「2人/49.0%」「3人/46.4%」「4人以上/52.9%」。子供4人以上では35.3%が一般墓を選択しているというが・・・それにつけても、樹木葬が昨今のトレンドとなっているようだ。

 思えばつい数年前まではこれほど、樹木葬需要(認知)は高くなっていなかったはず。が50霊園を展開している船井総研では、「樹木葬時代に勝ち残る法」といったレポートまで発信している時代。

 当家では生まれ故郷に一般墓がある。祖父母・父母・弟が眠っている。購入し昨年104歳で他界した父には怒鳴られるかもしれないが、「70万円近くを貯めこみ、樹木葬を」と密かに考えている。理由は単純。1カ月近く前に旅立った愛猫の遺骨を合同墓から運び出し、一緒に樹木葬で眠りたいな・・・という思いがあるからだ。

 葬儀の簡素化・墓需要の変化は、鎌倉新書には収益面で・・・と思ったが2025年1月期は「20.5%増収、11.6%営業増益、16円増配20円配」、そして今期計画も「21.8%増収、26.2%営業増益」で歩みを開始している。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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